« 油井亀美也宇宙飛行士がNASAではなく、ロシアのロケットでISSに行った理由 | トップページ | 渓流釣り 巨大イワナ34cm、大物ニジマス52cm ほか 2015年夏 釣果 »

2015年8月24日 (月)

JAXA 宇宙教育センター就職試験 初夏の挑戦

実は私、宇宙航空研究開発機構、通称JAXAの招聘社員の就職試験を受けました。

最終選考までは残ることができましたが、結果的には残念ながら合格できませんでした。

もちろん試験を受けた職種は「宇宙兄弟」のような宇宙飛行士ではありません。職務は宇宙教育推進室長。宇宙教育センターのリーダーです。

Sec01


「結果的に不合格だった人間のブログ読んで、なんの勉強になるんだ」って声が聞こえてきそうですが、なにせ全世界でたった一人の役職ですから、狭き門であることは最初から理解していました。その上で、いろいろと頑張った話を聞いてみてください。

JAXAには相模原キャンパスがあり、あの有名な「はやぶさ」も相模原で開発されました。宇宙教育推進室も相模原にあります。私は歳をとるに従って、地域や国に関連した役立つ仕事がしたい、次の世代を育てることに自分の経験を役立てたいと感じてきました。
私も昔から宇宙への憧れが強く、地元相模原で最先端の技術に触れ、それを教育に活かせたら最高だな、と考えていましたが、宇宙教育推進室長はその意味でまさに待ち望んでいた職種のように思いました。

宇宙教育センターってなに?

宇宙教育推進室はJAXAの一部門で、学校などの教育現場と一緒に「学校教育支援」を行うところです。宇宙教育を行うためのスキルの要請も行っています。その一方で、わかりやすいところで言えば、「水ロケットを作って飛ばそう」などのイベントを小学生向けに開催したりもしています。私も実は親子で参加したことがあり、ペットボトルで自作したロケットに水を入れて、JAXAの隣にある学校の校庭で打ち上げたりしました。息子は今でもそのときの感動をはっきりと覚えています。

JAXAの宇宙教育は、宇宙航空を教育現場で活用することにより、子どもたちの「好奇心」、「冒険心」、「匠の心」そして「授業内容の理解力」や「科学的課題解決能力」を育ませることに貢献することを目的とするとしています。

ところで、この宇宙教育センターの名前って耳にしたことがありますか?
聞いたことありませんよね。
3人の子供を持つ相模原市民、更に水ロケットを作ろうなどの親子イベントにも何度か参加した私ですら聞いたことがないんです。

Sec03

理数教育推進の背景

文部科学省は、次代を担う科学技術系人材の育成が不可欠と考え、理科、算数・数学の指導に関する環境整備の充実等のために年間30億円以上の予算を投じるとしています。
JAXAの宇宙教育センターの宇宙教育も科学技術の進展のための理数教育の育成を目指していますから、この予算を獲得したり、文科省の指針に沿った活動として、活動範囲を拡げたいという目論みがあるのでしょう。

教員免許取得のために、大枠ではありますが、新たに教育基本法と学習指導要綱などを勉強し直しました。現行の学習指導要綱のテーマはひとことで言うと「生きる力の育成」なんですが、生きるチカラとはいったいなんでしょうか。それは説明、批評、論述、討論などを含めたコミュニケーション能力であったり、国際化に対応する言語能力であったりします。
そしてその能力の中のひとつに「理数教育の充実」も掲げられています。

[教育内容の主な改善事項]

  • 言語活動の充実
  • 理数教育の充実
  • 伝統や文化に関する教育の充実
  • 道徳教育の充実
  • 体験活動の充実
  • 外国語教育の充実

また、もうひとつ重要な観点として、現在とこれからの教育の指針には世界標準基準とランキングが関わってくることです。つまり、いまや各国の教育は世界的にランク付けされ、教育現場ではそのランキングを意識せずにはいられない状況にあるわけです。
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構の略)という機関をご存じの方も多いと思いますが、OECDが進めている国際的な学習到達度調査がPISAです。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに調査を実施しています。最近の傾向では、上海、シンガポール、香港が上位を占めていて、続いて日本や韓国、フィンランド、エストニアなどがランキングされます。国際的な順位付けがされるとなると、この調査結果は大きな意味を持つことになり、学習指導要綱もそれを意識することになります。国際的に見て「科学的リテラシー」は重視される傾向にあるのです。
これらの観点からも宇宙がきっかけとなって育んでいく科学教育も、理数教育育成のポイントとなり得るのです。

JAXA面接までの準備と情報収集

私は今年、教員資格を神奈川県教育委員会から頂きました。記憶力もヘタったおじさんが大学の授業に出て、試験を受けたりして頑張って取得しました。
そんな努力も実ってか、私の今までの破天荒っぽい経歴が評価されたのか、JAXAの一次試験に合格しました。そこで次の試験の面接に向けて、更にJAXA自体の勉強をすることにしました。
例えば、つくばの宇宙センターへ行って、一般人として見学コースに参加しました。宇宙飛行士になるためのプロセス、宇宙服、無重力の世界、宇宙で生まれた魚など、様々な資料が展示されています。先頃、ドッキングに成功した「こうのとり」や国際宇宙ステーション「きぼう」の展示もあります。映像資料もたくさんあります。また、つくば宇宙センターには多くのJAXA OBの方が説明員として待機していて、その方々からとても興味深い話をたくさん聞かせてもらいました。そのお話しは是非、宇宙教育に活かさなければならない、と痛感しました。

Sec02


ちなみにJAXAは見学に行くと、一般の人でも社員食堂を利用することができます。私も社員食堂に行ってカレーライスを注文しつつ、どんな人たちがここで働いているのか、どんな会話をしているのか、ずっと洞察していました。人を観察するのは意外と面白いものですし、組織のいろいろなことが想像できます。
JAXAシンポジウムにも参加しました。JAXAは今年4月から国立研究開発法人となり、国立機関として新たな一歩を踏み出したのです。しかし、宇宙事業というのは前回のコラムでも書いたように、決して順風満帆ではありません。シンポジウムでの理事長の話からは危機感も伝わってきました。この危機意識が大切です。例えば、膨大な予算を使っている国際宇宙ステーション(ISS)は我々の生活にどう役立っているのでしょうか? 憧れの宇宙飛行士は、我々のためにどんな偉業をしてくれているのでしょうか?
国立機関としては、その意義を明確にし、国民みんなが知るところとし、培った宇宙技術が子供達の教育現場に実際に活かされることがとても重要であり、大きなテーマのひとつとなっているはずなのです。
実は、JAXAは宇宙だけでなく、航空機開発に関わる技術の開発もしています。そのように我々の生活に近い部分でも活動の成果が利用される必要があります。もちろん、人工衛星の活躍はめざましいものがあり、天気予報や噴火予測、地形の変化などに活用されていることはご存じの通りです。一方で、宇宙開発が我々の生活の何に役立つのか、あれほど話題になったはやぶさが持ち帰った成果なども、民間人にとってはどんな役に立ったのか、よく解らない謎のひとつでもあります。
こうして下準備を整えるために情報収集を始めましたが、調べれば調べるほど、たくさんの課題が見えてきます。宇宙教育センターのコンテンツはとても充実していますが、一般の人が生活に役立てたり、新たな体験に利用するにはもっと大規模な広報や教育委員会との連携が必要です。
そんな思いで面接にのぞみました。

マニュフェストはブラックホールへと消えた

面接が終わってから、選考結果の発表までには二週間近くありました。宇宙教育センターにはたくさんの課題を感じていましたが、それを伝えるにはどうしたら良いだろうと考えた結果、休日の半日を使って「マニフェスト」を作ることにしました。

今回の募集要項には「宇宙教育事業の着実な推進と更なる発展のため、青少年教育や理数教育に関連する情報の発信・組織連携・運営等の経験・能力を有し、既存の枠にとらわれない発想力と実行力で、宇宙教育事業の発展に尽力していただける方を公募します。」とあります。既存の枠にとらわれない発想力と実行力をぶつけてみようと思ったのです。
こうして約3時間かけて作ったのがこのマニュフェストです。「このマニュフェストを面接の際にお会いした面接官の皆様に読んで頂けないでしょうか」とJAXA採用担当の方にメールで送りました。面接官の方々がこれを的外れであると感じれば、私はセンター長の器ではなかったということでしょう。

Sec04

しかし、このマニュフェストが果たして面接官の方々に届いたのか、見てもらえたのかのさえ、今となっては解りません。届いたマニュフェストを面接官に閲覧されることすら事務方の段階で拒まれてしまったからです。そういう反応も予想はしていましたが、組織自体が既存の枠にとらわれない発想力と実行力を活かすことを許容できる体制にあるのか、そんな疑問の答えが出たような気がしました。残念ながら、マニュフェストは闇に吸い込まれてしまいました。

まだ、たくさんの新卒の方々が就職を目指して頑張っていることと思います。
同じような経験をすることもあるでしょうが、くじけずに頑張ってください。また、私のブログの中になにかしらの参考になることも、もしかしたらあるかもしれません。そうであれば幸いです。

さて、そんな激動の初夏が過ぎ去り、2015年の夏も過ぎ去ろうとしています。
私の宇宙教育への挑戦は終わりましたが、今、新たな書籍の執筆に向かおうとしています。良いものができそうな気がしています。
ご期待ください。

|

« 油井亀美也宇宙飛行士がNASAではなく、ロシアのロケットでISSに行った理由 | トップページ | 渓流釣り 巨大イワナ34cm、大物ニジマス52cm ほか 2015年夏 釣果 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 油井亀美也宇宙飛行士がNASAではなく、ロシアのロケットでISSに行った理由 | トップページ | 渓流釣り 巨大イワナ34cm、大物ニジマス52cm ほか 2015年夏 釣果 »