« 高速道路の通行料金は半額で。 | トップページ | カネゴン 対 R2-D2 、ときどきケロロ »

2008年1月23日 (水)

ヨンフォアの記憶

このカネがあればフォアが手に入る。
4気筒のチョッカンが・・

「どっちかっていうとステッカーを売りつけられて泣いてた私ですが、つーかバイクなんか一回も乗った事ない私ですが、この漫画、好きです。」宮藤官九郎

00_ 高橋ツトム先生のコミック『爆音列島』が面白い。
舞台は80年代の東京・品川区、暴走族の全盛期。若者がツッぱり、夜の国道を我が物顔で突っ走っていた時代。中学生の加勢と彼が入る暴走族「ZEROS」がストーリーの中心。当時の若者の心理、時代背景、バイクの描写、それらがみごとに描かれている(と僕は思う)。

冒頭のセリフは主人公の加勢が、改造したオートバイ「CB400Four」(ヨンフォア、またはフォア)を手に入れたくて発するひとこと。むむむ。

なつかしい感覚。

加勢はある日、あこがれのヨンフォアを目の当たりにし、その音に感動する。それに乗っていたのは一目置かれている族員のカズヤだった。カズヤがヨンフォア(フォア)を売りたいらしい、という情報を得てから、ついには買うためのカネを手に入れるまでにワクワクし、キーを受け取るくだりでは、なんだか自分のことのようにうれしくなってしまった…うれしくなったオヤジになってしまった(意味不明)。一方、カヅヤはフォアを売った後、何に乗るのかとおもいきや、なんとマッハIIIをどこからともなく買ってくる(*^_^*)。なんじゃこりゃあ~。

当時の暴走族(僕の周りの)は、Z400、ホークII、ホークIII、GS400Eなどに乗ってた記憶がある。みんな4気筒にあこがれてたけど、ヨンフォアは絶版後も価格が落ちにくくて、稀少だった。ただ、カットビに燃える、性能にこだわるヤツは必ずいてケッチやサンパチなどの2ストを選んでいた。2ストの頂点が幻のマッハIIIだ。だからこそ、カズヤがマッハIII(劇中では「殺人マシーン」と表現されている)に乗り換えるところは実にいい、言葉にできないリアリティがある。僕はマッハはもちろん、フォアを買うカネもないし、だったら2気筒は乗りたくない、そんな理由(だったと思う)で2ストにこだわっていた。
当時のサンパチ(GT380)は重たくてでかいボディーなのにパワーがあるので、それは恐ろしいバイクだった。少なくとも曲がることや止まることは考えられてないようなバイクだった。それでも、何速ギアに入っているか示すデジタルのインジケータや、エンジンから立ち上る2ストのにおいがたまらなくエキサイティングだった。ちなみに『爆音列島』ではマッハIIIのエンジン音は「ギュラン・・」と描写されている…これがまた…いい(*^_^*)。

僕は東京多摩界隈で育ったのだが、黒い皇帝ブラックエンペラー、地獄、スペクター、ルート20、キャッツなどが徘徊していた。国立はブラックエンペラーが仕切っていて、大学通りに200台以上のバイクとクルマが集まった集会も記憶に残っている。また、友人が戸越銀座に住んでいて、品川界隈をよく流していたので、この漫画の舞台にもつい共感してしまう。

付き合っていた彼女の兄(僕の一個上)がエンペラーの特攻隊長だった。アンパン(シンナー)中毒で、暴れたり、叫んだりで、いつも近所に迷惑をかけていて、彼女は気に病んでいた。ハイな時は妹に暴力をふるうこともあり、彼女はよく僕のところに逃げてきたりもしていた。
ある夜、小さな集会かなんかだったか、僕はそんな彼と偶然、夜の公園で対峙していた。もちろん僕は内心かなりビビっていたのだが、そんな素振りをおし殺していた。僕は妹に暴力をふるう彼に対して(その意識すらない彼に対して)何と言ったらいいのか解らずにいた。彼は特攻服こそ着ていなかったが、ヤンキーっぽいが少し大人っぽい服だった。ずいぶんと年上に感じた。僕が黙っていると彼がにらむように見て言った。
「お前が妹の彼氏か?」
かなりビビっていたから、正面から彼の目を見てうなづくのが精一杯だった。すると彼は続けた。
「妹を守ってくれよな」
僕はうなづいた。声にはならなかった。立ち去っていく彼を見ながら「アンパン中毒で妹に暴力ふるうくせに、正気の時は妹の心配かよ・・」と心の中でこっそり言った。もちろんビビリながら。でも、そんな特攻隊長は、悔しいけどカッコよかった・・。僕もそんな年頃だった。

大人と少年の狭間、犯罪と情熱の狭間、高校生と暴力団の先輩の狭間…あの頃の暴走族はいろんな狭間でもがいていたのだと、いまは思う。

ちなみに僕はあの頃も今も、暴走族ではない。と思う。

|

« 高速道路の通行料金は半額で。 | トップページ | カネゴン 対 R2-D2 、ときどきケロロ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/211443/17791040

この記事へのトラックバック一覧です: ヨンフォアの記憶:

« 高速道路の通行料金は半額で。 | トップページ | カネゴン 対 R2-D2 、ときどきケロロ »