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2008年1月21日 (月)

「キサラギ」 期待したけれど残念

00 映画公開時の予告編を見たときから期待していた「キサラギ」。

DVDが発売されたので、レンタル屋で借りて早速ワクワクしながら観た。
けれど期待しすぎた!! 期待はずれ。

アマゾンをはじめとしていろいろなブログを見ると作品に対する評価が高い。コメディに興味がある人にはお勧めできると僕も思う。

でも密室劇として見ると、密室劇独特のストーリー展開に重厚さがなく、稀薄でおもしろみに欠けた。

0012 「密室劇」とは、密室というものの"密"室でなくても良くて、ようするに一つの舞台で展開される劇のことだ。舞台演劇は場面をガラガラと変えることができないので、密室劇が多く、実際、映画作品のいくつかが元は舞台用の作品を映画化したものだったりする。

脚本のデキとキャラの魅力が作品の善し悪しのポイントとなることは言うまでもなく、実際、過去の例を見ても秀逸の密室劇は本当におもしろいものが多い。

誰もが思い起こす名作が洋画「十二人の怒れる男」、ヘンリ-・フォンダ氏主演。いろいろな事情を抱えた陪審員たちが真相に挑む密室劇だ。

0012_4 その名作をベースに、日本の舞台向けにこねまわしてできあがったのが三谷幸喜氏脚本、東京サンシャインボーイズの傑作舞台「12人の優しい日本人」。更に三谷氏で秀逸な密室劇と言えばもうひとつ「笑の大学」(二人劇)。どちらも映画化されているのでお馴染みだけど、密室劇だからこそ三谷幸喜氏の作家としての手腕が光る作品になっている(ちなみに個人的には三谷氏の「罠」も好き)。

そしてヒックコック作品にも密室劇が多い。傑作「ロープ」(こちらも元々は舞台作品)と「救命艇」など、どれも画面には動きがほとんどないにもかかわらず、謎と真実が交錯する、手に汗握る展開の素晴らしい作品だった。

「キサラギ」も元は舞台用にかかれた密室劇。
内容はコメディ。コメディやパロディとしては凄くおもしろくて、軽く笑いたい人は楽しめる。キャラも生きている。ただ、キャストは塚地氏以外はヲタクにもマニア(あえとファンではなくマニアと表現する)にも見えない。ボクシングヲタクとしてエキサイトマッチ(WOWOW)でよくみかける(笑)香川氏と、パロディ元そのまんまのつきあいたくないタイプを演じるユースケ氏はヲタの雰囲気満点なのに、わざとらしいヲタ演出にかえってリアリティを欠いてしまった。ストーリーには謎解きの重みはなくコントに近い。

00_2 焼身自殺した売れないアイドル如月ミキの一周忌に、追悼のためにネット掲示板の書き込みの常連である5人の男が集まってオフ会を行うところからはじまる。ネットでは常連だが初めて顔を合わせる男たちの登場と挨拶が、ありきたりに描かれているので、オフ会に出た経験がある人ならば、そのやりとりから既に30分後の展開は読めてしまうし、「家元」というハンドルが他の4人の位置づけを表わす布石になっていることもピンと来るだろう。

「彼女は自殺じゃない、殺されたんだ」という発言から、アイドル如月ミキの死因を核にストーリーが進む。誰かの証言が点となり、それを推理の線で結ぶのだが、あるのはコメディと推理だけで、真実もドラマもない。言ってみれば劇中のやりとりは、毎日いくつものネット掲示板で実際に無数にカワされているやりとりのようなものだ。

00_3 ネット掲示板では例えば、ドラマの謎解きを推理して発言しあったり、例えば映画の落ちの裏側を想像で語り合ったり、失踪事件のニュースについて知り得る情報から自分の考えを述べたり・・が繰り返されているが、そのほとんどは推理だけであって正解はない。(むしろ掲示板のやりとり方が鋭い人たちの推理とコアな情報が満載でリアリティもあってたぶんおもしろい)。

実際にラストシーン(エンドロールの後)がそんなくだりで締めくくられているが、普通の5人が推測で決めた死因は、観るモノにとってそれが真相(ストーリー上の)とは限らないし、6人めが出てきてエサを投げればまた推理は延々と続くのだろう。それでは感動できない。最後までアイドルの死因を推理で結論づけたに過ぎないのは、疑わしくてなんとも物足りないのである。

余談だけど、先日、名探偵コナンの実写版を観たけれど、コナン(工藤)役の小栗氏がこの映画の家元とダブって見えたのは僕だけ?

密室劇は大好きなので、単なるコメディではなく、謎と真相に迫る重厚なストーリーを加えた作品を期待します。

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